相続財産管理人とは?権限や必要となるケースなど
2023年4月も民法改正で、新たに誕生したのが相続財産管理人という制度です。
この相続財産管理人とはどのような制度なのか、与えられる権限や、必要となるケースを中心に解説していきます。
相続財産管理人とは?
2023年3月31日以前、つまり民法が改正される前にも、「相続財産管理人」という制度はありました。
改正前の相続財産管理人は、相続人がいない、または相続人全員が相続放棄をした場合に、最終的には相続財産を国庫に帰属するまで相続財産の管理を行う存在でした。
2023年4月1日に施行された民法改正により、以前の相続財産管理人は「相続財産清算人」という制度に名称が変更されています。
この変更に合わせ、あらたな制度として誕生したのが、新しい相続財産管理人です。
2023年3月以前の相続財産管理人とは違い、新たにできた相続財産管理人は、相続人がいる場合でも選任できる制度となっています。
新たな相続財産管理人という制度に関して解説していきます。
相続財産管理人が必要になるケース
相続管理人が必要になるケースは、以下のような状況が考えられます。
それが、複数の相続人がおり、相続財産に不動産があって遺産分割が完了しておらず管理されていないケースです。
たとえば相続財産に不動産(建物)があり、その相続人が確定しない状態があったとします。
その建物が老朽化しており、修繕が必要なものの、相続人が確定しないために誰が修繕すべきかわからないといったようなケースです。
建物を修繕しないと周辺の方に迷惑がかかりますので、こうしたケースで相続財産管理人を選任し、管理人が保存・管理のために必要な処置を行う形になります。
相続財産管理人に与えられる権限
相続財産管理人に与えられる権限は、原則として以下の2つです。
- 保存行為
- 管理行為
管理行為とは、相続財産の性質を変えない範囲内で財産を利用・改良する行為を指し、さきほど挙げた建物の修繕をする行為などは、保存行為にあてはまります。
また「利用」という点では、相続財産に賃貸棒不動産物件があった場合に、貸し出す行為なども考えられます。
上記2つの権限を超え、相続財産を処分することも不可能ではありませんが、処分行為など、権限を超える行為を行う場合は、事前に家庭裁判所に許可を得なければいけません。
まとめ
相続財産管理人は、相続財産を保存・管理するために新たに設置された制度です。
制度の活用には、家庭裁判所への申し立てなどの手間や報酬の支払いが必要になります。
こうした事態を避けるためにも、生きている間に遺言書の作成をしておくのがおすすめです。
弁護士に相談しながら、自身の死後問題が発生しないように、遺言書を作成しておきましょう。
また、どうしても相続財産管理人が必要なケースでも、弁護士に相談するのがおすすめです。
当弁護士が提供する基礎知識
-
相続税の配偶者控除の...
■配偶者控除とは相続税は、相続額から控除額を差し引いて残った部分について課税されます。控除額には、すべての相続 […]
-
相続の流れ
■相続の大まかな流れ相続は、人が死亡した時点から開始します。相続人が複数人いる場合、相続財産は基本的に共有状態 […]
-
遺言書にはどのような...
■遺言書には3種類ある遺言とは、自身の死後の相続方法等についての意思表示をいいます。遺言が法的な効力をもつため […]
-
相続税が非課税になる...
相続が発生した時に、相続税は必ず発生するという訳ではありません。ここでは、相続税が非課税となるケースについて見 […]
-
生前の相続放棄は不可...
相続に関わりたくない、借金を家族に残したくないなど、相続に対してネガティブな考えをお持ちの方もいらっしゃると思 […]
-
生命保険の死亡保険に...
■みなし相続財産とは相続税は、相続によって財産を取得した人に課される税金です。したがって、相続以外の原因で財産 […]
よく検索されるキーワード
弁護士紹介
私は、敷居が高いと言われる弁護士のイメージを変えていきたいという思いから当事務所を立ち上げました。相続問題に力を入れていますが、相続にまつわる諸問題は、財産の名義書換の手続きという比較的単純な手続きから、相続税の申告という税金の問題、遺産分割紛争といった複雑な法律問題まで、程度の差こそあれ、ほとんどの方が経験することになる身近な問題です。そのような身近な問題を機に一度、当事務所にご依頼いただいき、弁護士と関わることで、弁護士に対する敷居の高さが解消できればと考えています。
弁護士吉田 昌史(よしだ まさふみ)
事務所概要
名称 | 吉田法律税務総合事務所 |
---|---|
代表者 | 吉田 昌史(よしだ まさふみ) |
所在地 | 〒251-0054 神奈川県藤沢市朝日町12-1門倉ビル8 4階1号室 |
TEL・FAX | TEL:0466-54-3100 / FAX:0466-54-3101 |
対応時間 | 平日 / 9:30~17:30まで ※事前予約で時間外の対応可能 |
定休日 | 土・日・祝 ※事前予約で休日も対応可能 |