【弁護士が解説】遺留分を請求されたらどう対処する?
突然に遺留分請求をされたら、特に心当たりがない場合には多くの人が戸惑ってしまうと思います。
その結果対応を間違えてしまい、損をしてしまったり、自分の財産を強制執行されてしまったりするといった事態も考えられます。
そのような事態を防ぐために、この記事を読んで遺留分請求をされた場合の正しい対処法について理解しておきましょう。
遺留分請求とは?
遺留分請求をされた場合の対処法を考える前提として、まずはそもそも遺留分請求(遺留分侵害額請求)とは何なのかについて確認しておきましょう。
遺留分請求とは、相続人に対し最低限の相続分を保証する役割を持つ「遺留分」が他の相続人に行き渡ることで侵害されてしまった場合に、その清算金の支払を請求することを指します。
遺留分が侵害される主なケースとしては、1人の相続人のみにすべての財産を相続させるといった不公平な遺言があった場合や、生前贈与により実質的に不公平な遺産分割が行われた場合などが挙げられます。
遺留分請求をされた場合の対処法
遺留分請求をされた場合、たとえ心当たりがない場合であっても無視をしてはいけません。
なぜならば、それが正当な請求であった場合には、相手方に裁判を起こされ、自分の財産から強制執行をされてしまうおそれがあるからです。
もっとも、遺留分請求が不当なものであれば支払いを拒絶できます。
また、請求自体は正当なものであってもその額が不当に高い場合は、減額請求をすることも可能です。
以下、正しい対処法について見ていきましょう。
- 遺留分請求の内容を確認する
まずは、相手からされた請求が本当に正当なものであるか確認する必要があります。
これを確かめるには大きく以下の3つのステップを踏みます。
①請求する権利がある人からの請求か確認する
②遺留分請求権が時効にかかっていないか確認する
③遺留分の額が正当なものか確認する
①について、遺留分の請求はできるのは兄弟姉妹以外の法定相続人に限られています。
そのため、兄弟姉妹が法定相続人になるようなケースであっても、兄弟姉妹からの遺留分請求は不当なものです。
また、親族であっても法定相続人となっていない人は遺留分請求ができませんから、請求者が本当に法定相続人となっているのかよく確認しておくことも大切です。
さらに、相続欠格・相続排除などによって相続の権利を失っている人や、相続放棄や遺留分放棄をしている人もやはり遺留分請求はできません。
このように遺留分請求ができる人は限られていますので、まずは請求者にその基礎となる資格があるのか確かめてください。
②について、遺留分請求権は相続が開始したことおよび遺留分が侵害されていることの両方を知ってから1年で消滅時効にかかり、行使することができなくなります。
そのため、相続が起こってからかなり時間がたってから遺留分請求をされた場合は、時効を援用することで遺留分相当額の支払を拒絶することができることが考えられます。
さらに、遺留分侵害額請求権は相続開始から10年を過ぎることで除斥されて消滅します。
この場合、相手方が相続開始や遺留分侵害を知っているかどうかは関係ありません。
このような場合にも、支払いを拒絶することができるので、該当しないか確かめてください。
③について、遺留分として請求されている額が不当に高いと感じた場合は、その額を計算することも考えられます。
一定の計算式で額を算出できますが、この計算は複雑なものとなっていますので、額の正当性を確かめたい場合には、弁護士などプロフェッショナルへの相談をおすすめしております。
- 遺留分請求額について交渉する
遺留分請求の内容を確認して、それが正当なものであった場合には、遺留分を支払わなければなりません。
被相続人が2019年7月1日以降に死亡した場合には、清算は現金で行うことになっています。
そうはいっても、相手方の請求額をうのみにしてしまうと、必要以上の支払になってしまい損をしてしまうことが考えられます。
相手方に交渉の余地がある場合には、減額交渉をしてみるのも一つの手です。
- すぐに支払えない場合、支払期限の延長を求める
遺留分侵害額は、本来は相続財産を基礎に支払えばよいのですが、得た財産が住居の用に供する不動産であるなど換金することが難しい場合には、裁判所に支払期限の延長を求めることが可能です。
これが認められれば、支払いを遅らせることができるほか、延長後の期限が到来するまでは遅延損害金を払う必要がなくなります。
相続に関するご相談は吉田法律税務総合事務所におまかせください
このように、遺留分請求をされた場合には様々な対処法が考えられますが、確認事項も多く、一人で対処するには難しい部分が多いのも事実です。
そのため、プロフェッショナルへの相談をおすすめしています。
吉田法律税務総合事務所では、神奈川県藤沢市にて法律相談を承っております。
相続に関する問題でお困りの方はお気軽にご連絡ください。
初回相談は30分間無料でお受けしております。
当弁護士が提供する基礎知識
-
遺産分割協議書とは?
■遺産分割協議書を作成する意味遺産分割協議とは、共同相続人が相続財産の分配方法を決めるために行う協議のことをい […]
-
自己破産とは
■自己破産とは自己破産は、債務超過に陥ってしまった場合等に、裁判所への申立てによって債務の免除を得ることができ […]
-
有責配偶者とは
■有責配偶者とは有責配偶者とは、離婚原因を作った配偶者のことを言います。民法814条1項には離婚原因が規定され […]
-
連れ子には相続権なし...
自身と結婚相手の子である連れ子の間に血縁関係はありません。実質的には家族として共に生活し、自身の子として育てる […]
-
【弁護士が解説】遺留...
突然に遺留分請求をされたら、特に心当たりがない場合には多くの人が戸惑ってしまうと思います。その結果対応を間違え […]
-
内容証明郵便とは
■内容証明郵便とは内容証明郵便とは、文書の内容や、差出人と受取人が誰であるのかを日本郵便が証明してくれる郵便の […]
よく検索されるキーワード
弁護士紹介
私は、敷居が高いと言われる弁護士のイメージを変えていきたいという思いから当事務所を立ち上げました。相続問題に力を入れていますが、相続にまつわる諸問題は、財産の名義書換の手続きという比較的単純な手続きから、相続税の申告という税金の問題、遺産分割紛争といった複雑な法律問題まで、程度の差こそあれ、ほとんどの方が経験することになる身近な問題です。そのような身近な問題を機に一度、当事務所にご依頼いただいき、弁護士と関わることで、弁護士に対する敷居の高さが解消できればと考えています。
弁護士吉田 昌史(よしだ まさふみ)
事務所概要
名称 | 吉田法律税務総合事務所 |
---|---|
代表者 | 吉田 昌史(よしだ まさふみ) |
所在地 | 〒251-0054 神奈川県藤沢市朝日町12-1門倉ビル8 4階1号室 |
TEL・FAX | TEL:0466-54-3100 / FAX:0466-54-3101 |
対応時間 | 平日 / 9:30~17:30まで ※事前予約で時間外の対応可能 |
定休日 | 土・日・祝 ※事前予約で休日も対応可能 |